2019年10月25日金曜日

キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!! 400万円と80万円のトルコ絨毯 後編

今回は定価400万円の絨毯の特集です。(順目からの眺め)

前回の80万円絨毯の続きから。(逆目からの眺め)

80万円の絨毯を値切って購入する商談が終わり、ガイドのムスタファさんと談笑していたのですが、彼が勧めるに
「そういえば、とんでもない絨毯がありますよ。トルコ絨毯の最高峰を目の保養に見てみますか?」
ということで、お店の人に頼んで一緒にその絨毯を広げて見せてもらいました。
おおおお!!
これはもう、本当に「あっと息を呑む」表現がぴったりの素晴らしいものだったのです。

口を開けて鑑賞していると、件の店長が本気で我々に購入を勧めてきます。
そのお値段は400万円!しかも、これに限っては値引きはできませんとのこと。
「いやいやいや・・・・w。んな高級車のようなお金を払えませんよ。」
と、もちろんヒラヒラと手を振って断りましたよ。つか、そんな絨毯、買うわけねーじゃん。マジで。

僕のような庶民にいつまでも一生懸命勧めている店長たちに(カウワケネー、と思いながら)笑いで応えていたのですが、聞くともなしに彼が一方的に説明している話を聞いてるうちに、僕たちの心をとらえるいくつかのすごい特徴を持った絨毯であることが分かってきました。



1)これは、カーペット界のアカデミー賞「American's Magnificent Caepet Awards」を3度も受賞したPelin Ertugrul(ペリン・エルトゥールル)さんの作品であること。つまり、3度も世界一の絨毯を作る人として認定されたということ。そして、80万円のものと同じくヘレケ地方屈指のCinar(チナール)社の絨毯です。


これらが、彼女がデザインした受賞作品の数々です。とんでもないデザインの天才です。これらはオーダーメイドで、1枚800万円とかですと。

2)前回も書いたのですが、これが一番心が震えたポイントだったので再掲します。
天蚕糸(てんさんし)という薄緑色に輝く「繊維のダイヤモンド」と呼ばれる最高級生糸をふんだんに使っている絨毯です。天蚕糸は、桑の葉ではなくクヌギの葉を食べるヤママユ蛾の繭から作られます。だから実際には絹とは別物で、あくまでも天蚕糸。白い絹糸の70倍の値段にもなり、日本では安曇野の特産品であり、1gあたり1000円で売られています。
出典

他にも、山吹色、金色、白色(これは普通の絹)、という全4色のシルクを染色なしで使っています。
出典
3)紫色と灰色だけは天然素材で染めている。紫の染料の原材料はヒヤシンスとのこと。
4)糸を集めて製糸まで1年、織る期間が1年半、酢で洗って天日干しをして1か月。

それがこちらの絨毯。逆目方向から眺めるとなんという素晴らしきデザインセンス。

反対側(順目方向)から見ると光の反射でほぼ白銀の輝きとなり、その模様がほとんど見えなくなります。見えるのは染めてある紫色だけという角度もあります。
驚くべき品質です。

逆目方向の模様はこんな感じです。どこに天蚕糸の緑色、どこに金色の絹が使われているか、分かりやすい写真です。

順目方向はこれです。あまりに上と下の写真の色合いや輝きが違いますが、本日掲載しているどの写真もほぼ全く同じ撮影条件・現像条件です。つまり、肉眼でもこれほど違うのだと思っていただいて結構です。


絨毯の裏側を見ると、光の反射に左右されずにどのような糸がどこに使われているかよく分かります。最外縁部に薄緑色の領域が見えますが、これが天蚕糸を使っているという証です。

下が逆目方向からで、改めて見える雰囲気の違いに感心します。



しかし、どれほど店長から素晴らしいとアピールされようとも無い袖は振れないじゃないですか。そんな全く買う気のない僕らを横目に店長がCinarの社長に電話を始めました。その電話後の店長からのそれからのオファーは、
「先に買った定価80万円の絨毯はオマケに付けるから」
と言うものでした。僕らが魅了されたあの80万円の絨毯がオマケになっちゃうって、あんたらどういう価値観なんだよ、と愕然としましたがね。それでもあまりにも高いので「話にならん」という態度を続けていると、店長は更にCinar社長に勝手に電話をして、
「社長から了承が取れました。これからトルコはオフシーズンになって、絨毯は売れにくくなります。だからあの絨毯を今買っていただけるなら、80万円の絨毯をオマケにして、〇〇〇万円にします。それでどうですか?」
と言われました。2枚合わせて愕然とするほどの価格の提示です。いくらまで安くしてくれたのかは、お店にご迷惑がかかるので書けないほどです。



「いや・・・・・それなら何とか買えるじゃん!!」
という提示価格で、ここで初めて買うことを意識しました。何しろこれほどの特別な絨毯です。これを逃せば、一生これ以上の絨毯に出会うことはないでしょう。
買う!
心に決めました。だって、無理すればサラリーマンの僕にも買える値段になっちゃったんだもん。
ただし、そこから更にオマケ絨毯付きで2割値引いてくれるなら決めても良い、とダメ元で提案すると、その値段であっさりディールとなってしまいました。
あ・・・・・、いやいや、買っちゃったよ。
いやいやいや・・・・・買えちゃったよ。



最後はあまりにもバタバタと決まってしまい、しばし茫然です。もちろん、元値からかなり安くなったとはいえ、それでもそれなりに高いです。色々な高揚感や金銭感覚への罪悪感や、買った満足感と、買って良かったのかという後悔、とかもう脳内はパニックなのですが、買ってしまったものは買ってしまったとして、数分後にはサインした契約書が目の前にあります。
これ、よく考えたら、僕の一生の中でマンション、車の次に高い買い物だよなあ・・・・と。



この買った絨毯セットが家に届くまで6週間かかりました。洗ってそして十分天日干しをして、という作業込みで。
絨毯が届くまではすごく楽しみな反面、「うまく言いくるめられて買った僕はバカなのか・・・・」とか、「本当にそんなお金に見合うほど高品質だったっけ?」とか後悔の念もすごかったです。もうどんな絨毯だったか忘れかけている頃にやっと届いたのですね。
絨毯が届いてからずっと、この絨毯を眺めて、触って、寝転がって暮らしていますが、その結論として、「これほどの高品質な絨毯をあの値段で買えたのはとてつもなく安かった」、という感想となっています。まあ、良かったです、ホント。
ところで、美術館関係者の方でこれをしばし展示したい方がいらっしゃったらご連絡を。うちに敷いておくだけではもったいなさすぎなもので。

ということで、もしこれをご覧の方でトルコ絨毯をトルコで買おう、と思い立つ人がいるならば、僕が買ったお店(カッパドキアにあるGOLD LOOM CARPET)は信頼できる、とお勧めできます。あとは頑張って値段交渉してください。

高級絨毯って贅沢なものだな、と思ったのが、これほどの美術品と言っても良いような品を、踏みつけて鑑賞するんですよね。むぐぐ・・・

ほかのブログの方も、この絨毯には注目していたようですね)

これら絨毯の撮影は、大三元標準レンズHD PENTAX-D FA 24-70mm F2.8 ED SDM WRを使っています。


トルコ旅行記まとめ
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