この31ｍｍの難しさは、APS-C時代とは違い、中途半端な広角になるから、というのが原因と思われます。僕も、このレンズを使ったポートレートではなかなか満足のいく結果を出すことは難しかったのです。
今回、ポートレート撮影をしているうちに、
「ああ、そうか・・」
と思えるコツのようなものが分かって来たので、ちょっとそれについて書いてみたいと思います。
元々このレンズはAPS-C時代には35ｍｍ換算で48ｍｍ相当ということで非常に使いやすい標準画角のレンズでした。そのためもあって、
ペンタックスのラスボスレンズ、神レンズ、どうせいつか買うことになるんだから高くても始めに手に入れろ、ペンタックスでこのレンズを持っていないとかペンタックスを買う意味がない
など、称賛の限りを尽くされてきていたのです。
その写りについても
その場の空気感すら写し込む、何気なく写した写真が特別な意味を持った写真になる
など、「おいおい、一体どんなレンズなんだよ」と、ペンタキシャン達の憧れの的なレンズでした。
そんな憧れの的なレンズでも、入門クラスカメラを買う人とは違い、フルサイズのK-1を買うような人は、もう始めからこのレンズをサクッと当たり前のように買っちゃったりします、例えば僕の友人のように。
しかし、以前記事を書いたように、このレンズはK-1で使うようになると31ｍｍという中途半端な広角になるため結構難しくなるのです。このレンズを中途半端な広角と認識せずに使い始めると、
「友人のFA 31mm F1.8 AL Limitedが娘のスマホ写真に負けたらしい」
という記事のように、笑うに笑えない結果が待っていたりするほど難しいレンズになっていると思います。僕は、このレンズをＫ－１で使って風景写真を撮る分には結構コツをつかんでいて、まあそれなりの結果は残せていると思っていたのですが、このレンズを使ったポートレートは比較的苦手としてたのです。しかし、上の記事を自分で書いた後（Ｋ－１のクロップモードで撮れば良いじゃん、というアドバイスをしたという話）、そこに書かれてあったことでひらめくことがありました。
「そうか、ポートレートでもＫ－１のクロップモードで写している気持ちになって、心の中でのクロップの画角でモデルを写すつもりになれば良いのか。」
と。
（注釈：K-1はAPS-C用レンズが使えるようにクロップモードというものがあり、ファインダー内にAPS-C画角のフレームが表れてAPS-Cセンサーサイズでの撮影ができるのです）
そう気づいた撮影において、どのように写しているのか分かりやすい写真が下の写真。心のクロップフレームでは下の写真のようにモデルを写しているつもりになってます。
でも、実際に31ｍｍ画角でＫ－１のフルフレームセンサーに写し込まれた写真は下のようになります。上も下も悪くない写真ではあると思うし、どちらの画角が好きなのかは好みで別れると思います。それでも下の広角ポートレートでは、モデルの周りに港の見える丘公園の美しい風景も広く写し込まれ、その広い背景からモデルが絶妙に浮かび上がっています。これぞ、smc PENTAX-FA 31mm F1.8 AL Limitedで写した広角ポートレートだ、という特徴が出ています。
同じように、心のクロップフレームでは下の写真のように撮ったつもりになっています。これはこれで良いですね。
でも、実際のセンサーに写し込まれた写真は下のようになっています。
広角となることによって全身が写り、そして広角らしいパースが効いています。しかも、モデルの顔以外は美しいボケの見本と言っても良いsmc PENTAX-FA 31mm F1.8 AL Limited特有の世界観が広がっています。
とまあ、こんな感じでこのレンズの写し方が分かれば、あとはもうお気に入りとなるポートレートを成功率高く撮っていけました。下の写真など、港の見える丘公園らしい背景が広がっているのまで写し込めています。
これらのように背景まで美しく写し込める写真は、いつも僕が神レンズと言っているsmc PENTAX-FA 77mm F1.8 Limitedでは難しい。smc PENTAX-FA 77mm F1.8 Limitedって、良くも悪くも被写体だけを美しく撮るレンズなんだよなあ。
「え・・・・この広場の真ん中でこのポーズするの？」
と言いながらも、よく付き合ってくれるモデルさんです。
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