さてこのレンズ、高いお金を出して買ったのは良いけれど、何も考えずに撮るとびっくりするぐらい普通の写真が撮れてしまう。実のところ、僕はこのレンズって結構難しいレンズなのではないかと思い始めている。
このレンズは、このレンズに愛着を持って、このレンズの特性と特徴をしっかり把握して、被写体との距離感を掴んだ上でなければ良い写真が撮れないことが分かってきた。
しかし、このレンズはこれから熱く語るように、素晴らしい特徴がたくさん詰まったレンズである。愛着を持つことが出来れば、僕がここで語っていることを分かって頂けるものと信じている。
まず第一に主張したいことは、このレンズは格好良い、ということだ。
はっきり言ってしまえば、このレンズの最大の特徴はこの恰好良さである、と思う。
スペックだけを見ると何気に突出したところもなく、その割にかなり高いお値段。だから、買うのをすごく、すっごく躊躇したレンズである。
しかし、この恰好良いレンズをK5Ⅱsに取り付けて颯爽と写真を撮っている自分、という妄想がどんどん膨らんでいき、ついにあるお酒に酔った判断力に乏しい夜にフラフラとポチッてしまったレンズである。
スペックだけを見てみると、ズームレンジは20-40㎜ F値は2.8-4 と物足りなさを感じていた。
しかし実際に買ってみると、相当レベルの高いレンズであることが分かった。表面的なスペック値だけでは分からなかった、良いところ満載のレンズなのだった。
手に入れて初めて、その高価な理由が分かる、というもの。
その長所は
1)恰好良さと高級感
しつこいようだけど、実際にカメラに取り付けると、その格好良さはハンパない。実物は、ネットで見ていた写真なんかよりもずっと格好よく、しかもアルミ削り出しの滑らかな高級感。
リミテッドレンズの証である赤いリングもその所有欲を十分満たしてくれるもので、毎夜カメラ&レンズを防湿庫から取り出して撫でまわすだけでも、このレンズを買った価値はあったというものだろう。
2)軽さとコンパクトさ
所有してみると、このレンズの企画意図ははっきりと分かる。
軽くてコンパクトな(初めてとなる)リミテッドシリーズのズームレンズ、ということだ。
だから、
せめてF2.8通しに・・・・・
という意見もあり、それもよく分かるのだけど、これはその製品企画の意図とは違う要求だと思います。このレンズは、きちんとその企画意図をブラさずに製品化したからこれほどの計量コンパクトを実現できているのだと思う。
F2.8通しの設計にしたらあなた、この倍の重さのレンズになりますよ。
実際、これほどの高級感を持ちながら、283gという驚異の軽量ズームレンズになっているのは、付けっぱなしレンズにするには本当に助かる。使えば使うほど、そのありがたみは身に染みるというものだ。
3)防滴機構
製品名の最後にあるWRというのが、「このレンズは防滴機構を備えています」という証だ。
ペンタックスの最大の特徴の一つが、このWR機能であり、カメラ本体も防滴機能を備えているため、なんと!WRレンズのペンタックスで、シャワーを浴びながら撮影しているyou tubeもアップされているほどなのだ。
つまり、カッパを着て、雨に濡らしながら撮影できる、ということになる。
うーん・・・、頭では分かっているけど、なかなかそれを実現する勇気はならないが。
4)リミテッドレンズらしい味付け
始めに書いたように、このレンズ、普通に撮ると、普通の写真にしかならない。
例えば風景をぱっと撮ると、下のような写真になってしまう。これが高いレンズで撮った写真なのか・・・・と、多くの人がこのレンズを買ってガッカリしている典型的な写真じゃないかと思う。
正直、このレンズのレビューで悪い評価をつけている人ってこういう写真になって驚いてるんだろうなあ、と想像に難くないのです。だから、このレンズにガッカリしている人の気持ちも分からなくはない。
実はこのレンズには写すコツがあって、こうならないようにできるようになれば、このレンズの評価はがらりと変わるはず。
例えばこういう感じ。ちょっと別の場所の写真でずるいんだけど。
僕の思っているこのレンズのコツって実は簡単で、普通よりも3~5歩近づいて撮る、ということだと感じています。
広角側ではこんな感じになります。
ナイショですが、このレンズの一番美味しいところは広角端です。ここを使いこなすとこのレンズは大親友です。
特に夜景を美しく撮る能力はかなり高い。
手振れにさえ気を付ければ、おおおお・・・・!という写真は比較的簡単に撮れると思う。ちなみにこの写真、手持ちです。
5)広角ぎみのズームレンジ
先に書いたように、この20-40mmというレンジ幅はいささか狭いのではないか、と心配していたのだが、結構充分にレンジは広く感じる。20㎜なんて、想像以上の広角までカバーしているので、通常使用の範囲内で色々と表現できることに驚く。
下の撮例は、広角端の20㎜と望遠端の40㎜で撮ったうちのリビングの写真。結構その違いはありますね。
ちょっと言い過ぎを恐れずに書くと、リミテッドレンズの単焦点21㎜、35㎜、40㎜の3本を同時に持ち歩いているような感じ。でも、先ほど書いたように、一番美味しいのは広角端で、望遠側はおまけ。
まあそう考えると、このレンズは高いけど、アリ、かなあと思います。
6)準マクロレンズとして使える
最短撮影距離が0.28mなので、思いのほか寄れる。だからマクロっぽい撮影もそこそこ楽しめたりする。
以下は、ちょっとトリミングしてるけど、ローズマリーの花を撮った写真。
そのボケ味も独特のものがある。
こうしてみると、確かにF値はそれほど小さくないレンズなんだけど、スペックには表れない写真が撮れたりするレンズかなあ、と思う。
7)ポートレートレンズとして優等生なんだなあ・・・
背景を強烈にぼかすタイプのレンズではないため、そういうレンズを探している人は別のレンズにする方が良い。これを理解していないと、みょうなガッカリ感を覚えるかも。
背景をぼかすポートレートレンズを探している人は、単焦点に行ってください。例えば
smc PENTAX-FA 77mm F1.8 Limited
smc PENTAX-FA 31mm F1.8 AL Limited
smc PENTAX-D FA Macro 100mm F2.8 WR
smc PENTAX-DA 35mm F2.4 AL
smc PENTAX-DA 50mm F1.8
などの方が良いと思うです(僕の持っているレンズの中でのお勧め。その他は知らん)。
このレンズはそうではなく、背景をある程度軽くぼかしながら、それでいてある程度背景も写しこみたいという状況のポートレート向き。例えば下のモデル1号を撮った写真などは38㎜の開放(f=4)で撮ったものだけど、後ろはあまりぼけていない。こうしてみると、背景のボケを期待するようなレンズじゃなく、背景をある程度一緒に写すためのレンズなんだな、ということも分かってもらえる写真ではないかと思う。
(ちなみにポートレートは望遠側の方が良いような気がします)
このレンズの特性や特徴を理解してやることが出来れば、使い方によってなかなか悪くないポートレートレンズになってくるのではなかろうか。
7)高い耐逆光特性
強い逆光でポートレートを撮っても、全く動じることのない撮影能力。
これは、HDコーティングのお蔭なのだろう。
以下は、かなり強い逆光下にカメラがあり、モデル1号を日陰に入れて撮ったポートレート。逆光への踏ん張り方は大したもんだ、と思う。
8)DCモーター (追記)
長所として書き忘れていたので追記です。
レンズにDCモーターが内蔵されているので、とにかく静かにほぼ迷いなくピントが合う。
ピント追従能力もかなり高いと思う。
最後に一言。
ペンタックスのAPS-C機でお出かけレンズで1本だけ、となると、このレンズになる(少なくとも僕は)。
このちょっと難しいレンズと心を通わせることが出来れば、素晴らしいカメラライフになるのではないかと思うのだ。
おまけ
禁断の高いレンズと安くて良いレンズとの直接対決
面白いと思われたら、ブログの励みになりますのでボチッとな、とお願いいたします。↓
ちなみに、ランキングでの題名は、「どうして、ペンタのレンズは凄い写真が撮れるのか?」です。
私も最近20-40を購入しました。
返信削除今までキットレンズの18-55を使っていて、そこそこ便利でしたが描写が甘くフォーカスの
音も気になっていたので思い切って購入しました。
シルバーを選びましたが、FAほど仕上げが良くない感じがします。
そして静かなフォーカスはいいのですが、いかんせん20-40は使い難いです。
DA40XSは結構使っていますが、ズームだと思うと40は使い難いです。
やっぱり3倍の18-55は欲しかった・・。
ピントは良いのですが、FA単レンズのような空気感は感じ取れずにいます。
このレンズはぶら散歩などで、自分が動けて興味のある対象物に向き合えないと
ただの高額レンズで終わっちゃいそうです。
どうもこんにちは。
削除あなたのおっしゃる通り、これはそういうレンズです。
特に、単焦点系とは写りが比べるべくもない。これはしょうがないです。ズームですし。
特にFA単焦点は、神レンズですからねえ(笑)
ただ、黒色の仕上げは良いかと思いましたよ。ギザギザの部分の塗料は剥げやすいようには思いましたが。
でも、このレビューのように、長所はたくさんあると思っています。
僕が使ってきて感じたこのレンズでうまく写すコツは、普通よりも3歩前に寄って撮ってみてはどうでしょう?
また、どちらかというと、広角側の方が良い写りになるような気がします。広角側では5歩前に寄る、と(笑)
とにかくこのレンズは本当に難しいと思いますが、心を通わせるとお気に入りのレンズになると思いますよ。
もう少し、付き合ってあげてくださいね。
再び訪問しました。
返信削除購入してブログを中心に約1年使ってみましたが、今ではすっかりこの画角にも慣れました。
Limitedならではの写りの良さと、軽量でアルミ削りだしの外観は使っていて満足感があり
写真にも反映される気もします。
20-40の写真もたくさん載せていますので、宜しければご覧ください。
https://blogs.yahoo.co.jp/mn1952jp
お久しぶりです。
削除HD PENTAX-DA 20-40mm F2.8-4 ED Limited DC WRを使いこなしていらっしゃるようで、とてもうれしく思いました。おっしゃる通り、これは慣れが必要ですし、慣れれば独特の世界観を写し出せるレンズだと思っています。
僕はフルフレームにケラレてしまうのでこのレンズをドナドナしましたが、やはりこのレンズだとこういう味わいの写真になるんだな、と懐かしくブログを拝見させていただきました。
拝見させていただいて2つほど、
・絵画のガラスの反射を抑えるため、空を青く、湖を青く写すために、C-PLフィルターのご購入をお勧めします。
・せっかくそれほどのレンズを入手されているのでしたら、いっそのことあの憧れのK-3の中古をご購入されてはいかがでしょう。随分安くなってます。K-01ではお孫さんが動き回るようになったときに、追随できなくなると思います(経験済み)。K-3にされると、そのレンズのすごさがよりお分かりになると思いますよ。
https://www.amazon.co.jp/gp/offer-listing/B00FP6BE8Q/ref=dp_olp_used?ie=UTF8&condition=used
シルバーエディションは高いですが、そのレンズの色に合います(笑)
https://www.amazon.co.jp/gp/offer-listing/B00FP6BBHU/ref=dp_olp_used?ie=UTF8&condition=used